中東の思い出 ~サムゲタン(韓国)~


実は僕は、韓国に行ったことがありません。
でも、旅の途中で何人かの韓国人と出会い、交流し、
一緒に旅をした人もいます。
その中で、アフガニスタン、イランを共に進んだSさんがいました。
なんとなーくアフガニスタンは危険そうだから行く予定はなかったんですが、
何人か集まって行動すれば大丈夫、という友人の意見で人集めをしていました。
ビザを取りにアフガニスタン領事館に行くと、Sさんが書類の国籍の欄で質問を受けていました。
職員「君の国籍はKOREAとあるが、北か南か記入してくれ」
Sさん「KOREAの心はひとつだ!北も南も関係ない!」
国際法的に明らかに職員が正しいのですが、Sさんはしばらく朝鮮人の民族意識について熱く語り、
最終的にしぶしぶ「SOUTH」と付け足しました。
Sさんの顔には大きなあざがあり、手足には何箇所も包帯が巻かれています。
なんでもパキスタンのモヘンジョ=ダロ遺跡に行く途中のバスの中で、
知り合った現地人からもらったクッキーを一口食べたら、
次に目を開けたのが病院のベッドの上だったそうです。
「睡眠薬が入ってたみたいでねぇ、寝てる間に引きずり出されて
 カメラとか盗まれちゃったよ^^;」
Sさんのことは新聞にも大きく載ったらしく、町を歩くと「あ、強盗された人だ!」と
声を掛けられたりもしてました。
そんなSさんは自炊大好き。
泊まった宿の厨房を借りたり、時には鍋だけ借りてストーブの上で夕食を作ります。
まだ料理がヘタクソだった僕は、いつも手伝いをしていました。
そこで必ず作るのがキムチ。
もちろん魚醤やコチュジャンは現地では中々手に入らないので、
本格的ではないにしろ、手馴れた手つきでさっと作ります。
たまーに調子がいいと、母国から持参してきたチューブのコチュジャンを足して、
より一層おいしくなります。
Sさん
そしてもうひとつが今回紹介するサムゲタン!
肉屋で鳥を一羽買ってきて、お米と一緒にぐつぐつと炊きます。
これがまたさっぱりやさしい味でめちゃくちゃおいしい!
キムチと一緒に毎日のように食べていました。
食事のバリエーションも少なく、口に合わないものが多かった中東で、
心安らぐことができたのはSさんのサムゲタンのおかげです。
Sさん、あれから9年ですね。
当然怪我もあとかたも無くなってることでしょう。
僕のサムゲタンはSさんの味です。
キムチだれを付けて召し上がれ!
サムゲタン